イタリア庭巡りの旅・・・14 カステル・ガンドルフォ(2-2)

カステル・ガンドルフォは、ローマの中心部から40分ほどの場所にあります。

離宮は1929年にローマ教皇庁ムッソリーニ政権下のイタリア王国と結んだラテラノ条約により、バチカンの主権下にあります。
この庭園は、古代ローマ時代のドミチアヌス皇帝(在位81〜96年)の廃墟の上に造られています。それはローマの宮殿をそのままという感じのものだったそうです。
美しい湖アルバーノ湖から14kmの土地を求め別荘が作られ、3つの区域があります。山の先には海があります。
約55ヘクタールの領土です。庭園と農園があります。
古代の遺跡と自然の変化を残す庭造りです。3段の庭園にまとめられています。
古い文化と歴史を目の当たりにする場面が次々と現れて、その稀有な庭園に見惚れます。



ガイドはフランチェスカさん、
そして幸運なことにバチカンの植物学者のSさんがずーとついて下さり、植物に対する様々な質問にすべて答えてくださいました。
めったにない素晴らしい時を過ごさせていただき、ただただ感謝感激でした。


左側にローマ時代の劇場があります。


場面ごとにローマ時代の姿のわかる資料を見せていただいて、わかりやすいです。


左側の壁部分もすべて遺跡。出土した展示物などを展示しています。
なおここで出土したものは世界各国の美術館へ行っているそうです。
これらの木はラテラノ条約後に庭が造られたので、50〜80年経過しているものだそうです。
庭を造るにあたっては、キューガーデンのシャクナゲなど世界あちこちの庭を観に行ったそうです。
左側のアジサイは30年程前にカンナから変更しました。




このトンネルはなんとアルバーノ湖へと通じています。
今は鍵がかけられていますが、なんと壮大な夢のある古代ローマの庭造りでしょう。
権力者の考える事は並外れているなあ・・・
このトンネルを通って湖に行ってみたい!と思ってしまいました。



ここは酸性と鉄分を含む火山性の土だそうです。
横にはマートルの木もありましたが、皆元気。



珍しいコルクの木。


ヨハネパウロ二世がいらした時、車いすがスムーズに動くように置かれた鉄板が、
まだ残されていました。




ここはヨハネパウロ二世が愛された場所とのこと。
7人の法王がここにこられましたが、現在の法王はまだとのことでした。
マリア様の像が限りなく優しいです。




古代ローマの舗装の石を集めた敷石。
「ほら、馬車の跡があるでしょう!」



ツゲで模様が作られた整形式の庭は、Tさんに連絡いただきネットで見て、是非行きたいと思った場所です。
やはり、その迫力に感動しました。
特に今まで見ていた木がいっぱいの庭から一段下がったこの造形的な庭園への変化は、見る者を驚かせる迫力と美しさが迫ってきました。


とても珍しい地衣類だとのSさんの説明でつくづくと眺める。
大きなのは、300年くらいでこの大きさになったとのこと。



庭は三段になっていて、階段は噴水の水音を聞きながら下りてゆきます。



壁の額縁部分は、ボーボリ公園のグロットで見た、あの不思議な形の石と同じものでした。
こうした特殊な石があり、グロットなどにも使われるそうです。



庭師は15名、農場にも15名いるとのこと。

庭師さんたちは、庭の中で働いたり、車で移動したり。
Sさんはそれぞれに声をかけて、打ち合わせの様子。
私たちも手をふったり。




Sさんがシャッターを押してくださり、記念撮影です。



なんとケイパーが。
そういえばあちこちで自生している状態を見ました。
やはり、原産地!


ローマ時代、皇帝も下りてきてた食後の散歩をした場所。


戦時中アメリカ軍が来た時、法王は人々のためにカステロガンドルフを
解放し、その他はここにかくまった。毎日500人分の食事も作られたそうだ。



紋章の庭の真ん中にある泰山木が威厳さえ感じられる。



門は自動であっという間に閉まりました。
Sさん、長時間のご親切ありがとうございました。


アルバーノ湖の美しさにしばしうっとり。


偶然にバチカンの庭園のガイドさんとすれ違いました。
「ありがとう。さようなら!またお会い致しましょう」