英国の庭を訪ねる時、その庭の歴史を知っているといっそう有意義な訪問となります。
例えばロンドンのランベスにある、歴史あるセントメアリー・アット・ランベス教会には、小さいけれどとても素敵な17世紀風のノット・ガーデンがあります。
1982年に再開されたこの教会の中は、「ミュージアム・オブ・ガーデン・ヒストリー」(庭園史博物館)となっていて、17世紀の園芸家そしてプラントハンターだった、ジョン・トラディスカント父子のコレクションが母体となり、トラディスカント・トラストが構成されています。
庭園の歴史がわかりやすく展示され、私が日常よく使う、ガートルードジェイキル考案の収穫籠などもここで購入しました。
17世紀風のノット・ガーデンは、この場所を時代考証し、こうした庭がふさわしいと、ハットフィールド・ハウスの侯爵夫人がデザインされました。
◎ちなみにハットフィールド・ハウスにはこの庭の数倍のノット・ガーデンがあります。
ハットフィールド・ハウスはエリザベス一世が女王になる前幽閉されていたお城として有名。トラディスカントが庭造りに関わっていました。
トラディスカント父子のお墓も設置されています。
英国の庭園は庭園史で取り上げられる名園とは別に、新しい園芸家による魅力的な庭園もあります。大々的に変化された庭もあります。
世界的な傾向として、多年草や手間のかからない植物を使いいかに魅力的なものを造るか・・・イネ科の植物とエキナケアやルリタマアザミなどアイキャッチャーとなる多年草の花を使ってのものなども見られます。
しかし、昔からずーとある庭園の魅力、なぜそこにその庭があるかを思いながら観る愉しさは格別です。
1991年6月に刊行された拙著「英国ハーブと花の旅」(桃李出版)では、
34ヶ所の庭園を取り上げております。30年近く前の本ですが、変化した庭しない庭いろいろ。表紙の庭園は大々的に変化して様変わりしました。
最後の頁のミュージアム・オブ・ガーデン・ヒストリーでは、初めて訪れた時の様子も含めて詳しく述べております。