ボストン夫人が遺した布も使ったキルト№2


グリーンノウの館への道のり
私がボストン夫人のことを知ったのは、姉熊井明子が書いたエッセイからでした。
それはまだ日本でパッチワークという言葉が一部の人にしか知られていない頃のことでした。
 グリーンノウ物語に出てくる、アンティーク・キルトを取り上げた文章でした。
 私はすでにパッチワークを姉に薦められて始めていましたので、その館とキルトにとても興味がわいたのです。そしてその後、友人の恵美さんが送ってくださった、フルート奏者山形由美さんのテープ`Crystal Air'、これはなんと、このマナーハウス、グリーン・ノウのイメージで構成されているもので、この曲を聴いていると原稿の筆も進むのでした。
 そんなある時、本屋さんで『イギリスは愉快だ』平凡社(1991年)を見つけて読み、驚きました。
 著者の林望さんは、8か月もの間このマナーハウスのアネックスを借りて住んでおられ、当時91才のボストン夫人との、詩的な、心がほのぼのするやりとりや、ボストン夫人のお人柄や暮らしぶりがわかる、様々なことを書いておられたのです。山形由美さんのボストン夫人の家での演奏会のことも。
 残念なことに夫人は1990年に97才で亡くなられたのでした。
 この時のことは、1992年の私の初めてのエッセイ『ハーブパワーをたのしむ素敵な暮らし』(海竜社)に著しましたが、その後1993年のこと、英国大使館でのパーティーに姉と出席すると、偶然にも林望さんにお会いしたのです。
 私はこの年も「フランス&イギリス・花とハーブの旅」を企画していたのでボストン夫人宅に行く方法をお聞きすると、アポイントをとれば大丈夫とのこと。旅行社にお願いして、急遽この館を入れ込むことができたのでした。(つづく)